side愛

ついに迎えた土曜日、試合の日。


私は今日はシングルスで出場することになっている。


「愛ー!!頑張ってー!!」

真理がブンブン手を振ってくる。

「はーい」

軽くラケットを振って応えた。



相手校はそこまで強くない。
私も相手にストレートで勝つ自信がある。

でも。

広田にちゃんと言えるかな…


負けたくない。試合には勝つつもりだ。

相手には失礼だけど、試合より告白に精神をやられてる。

試合への緊張は慣れているけど、告白なんてしたことがない。

心臓がいつもより速く動いている。

ドキドキが止まらなかった。

何…この気持ち…

試合と違う緊張に不安を覚える。




「ワンセットマッチ、高瀬トゥーサーブ」


審判の声が響く。

不安をかき消すようにラケットを大きく振る。

始まりだ。