とにかく私は、久保さんが口を開くのを待った。こんなに胸が、痛くなる緊張は初めてだった。

「これから話すことは、たぶん妃咲ちゃんが考えてるようなことじゃない。」

「はい。」
ドキドキピーク越え。

「実は機嫌悪い接し方をしてたのは演技だった。ごめんね。生産数が追いつかなくて、俺達のペアは遅れをとっていたから妃咲ちゃんに優しく教えても良かったんだけど負けず嫌いそうだから、あえて
スパルタにしたんだ。本当にごめん。」
・・・・・・ぇー、ぇー、えー⁉
こんなことがあるなんて。あの気まずい期間は何だったんだろう。
「別に私、気にしてません。逆にやらなきゃと思いました。」
こうとしか言えなかった。
「明日からは普通通りだから。」
何かわかんないけど良かった。
そして、ちゃっかり連絡先交換して家まで送ってもらった私なのでした。

そして、この頃から身体がSOSを発しているのに私は気づかないでいた。
たまに胸が苦しくて息苦しくなることが何度かあり、これが始まりだったのだ。