何だかんだで、5月。久保さんとも仲良く仕事を出来ていると思っていた。
でも、なぜか5月に入り態度が急変する。
それに比例して残業も多くなり、仕事も忙しくて私はどうしたらいいのか分からなくなった。
私の仕事は製造物の検査と結合。
私は新人だった為、検査で傷等がある度にペアである久保さんに最終チェックを
お願いしていた。

「久保さん。これ、傷みたいなのが見えます」

「・・・・・・」

無言で受け取る久保さん。

物が入っているカラーケースの扉を
音をわざとたてて閉める久保さん。
大きい音がする度にドキドキしていた。
恐い・・・私、何か怒らせるようなことをしたんだろうか。。
2日、3日、1週間と久保さんの機嫌の悪さが長引いていく。あの優しかった久保さんはどこにいったんだろう。
しかも、私意外の人とは仲良さそうに
話をしていたから尚更悩んだ。
私は何もしていないのだ。ただ、仕事をこなすことしかできず久保さんと普通に接することもどうしてもできなかった。
返事さえもしてくれないのだから・・・

私はだんだん恐怖より、一向に態度が悪い久保さんに悲しく、苛立ち始めた。
私は滅多に人に苛立つことはないのに
久保さんには腹がたった。
その位、私の中での久保さんの存在が大きくなっていたんだと思う。

ゴールデンウイークには彼氏と花見に出掛けた。彼氏も仕事が忙しく何とか休みを調整して泊まりでの花見だった。
この頃から、久保さんのことに意識がいっていて彼氏への気持ちは薄れつつあった。優しい彼氏だったから、もう好きな気持ちがなくても別れを言えなかった弱い私。後に彼氏を泣かせることになるとはこの時の私は知らずにいた。