ピンポーン

私の指が、高級な門にくっついたボタンを押す。

《はい。》

応えた静かな声は、圭子さん
のようだ。

「あのー、マリです。」

《あら、じゃあ、今開けます!》

やばっ

「あーー!ちょっと待ってください!」

そうだった。私は、小学生という
姿を、お客に見せてはいけないのだった。