ゆっくり呼吸をして、息を整える。


…大丈夫。


今は、もう涙は出ないはず。


それからすぐ、部屋の中の声が聞こえてきた。


「…話ってなんだ?」


翔のいつもの淡々とした声。


「幸望ちゃんに聞かせられないってどういうこと?」


奏ちゃんの少し戸惑った声。


「幸望りん、泣いてたよ。どうして自分に話してくれなかったのって……」


亮くんの辛そうな声。


そして……


「やっぱり、泣いちゃったか……」


さっきとはうってかわった、


みっくんの優しい声。


私の大好きな、落ち着く声。


この声が、一ヶ月後には聞こえないと思うと、また悲しみの雫がこぼれそうになる。