楽しそうに話す先輩たちの隣で、


俯いて必死に涙を堪えていると。


「…幸望ちゃん、ちょっと席外してくれない?」


今まで聞いたことのない、みっくんの冷たい声。


我慢していたのに、泣きそうになる。


「どう、して……?」


「幸望ちゃんに関係ない話だから」


"早く出ていけ"と言わんばかりの冷たい言葉。


意を決して顔を上げると、冷たく突き刺さる瞳が私を捉えていた。


「おい、瑞希!そんな言い方……!」


「はやく!」


亮くんの言葉を遮り、声を荒げるみっくん。


私は我慢できなくて、一粒の雫を床に落としてしまう。


「…分かりました……」


そう言って病室から出る。


また、どうしようもないくらい泣いてしまいそうな自分を、なんとか押しとどめる。


ダメ。泣くな。


泣いたら、ダメなんだから。


グッと手を握りしめ、涙をこらえる。


すると、キュロットのポケットに入れていた携帯が揺れ始めた。


…メール?


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From▷翔

聞きたくなかったら、
下のロビー。
聞きたかったらそこにいろ。
瑞希のことだ。
どうせ幸望が聞いたら泣いてしまう
とでも思ったんだろう。
お前のことが嫌で、
追い出したんじゃないと思うぞ。
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翔…!


私は手の甲で涙を拭い、ドアに極力近ずいて耳を立てる。


…そうだよ。


翔輝にも、言われたでしょ。


先輩は……みっくんは、


私のこと、ちゃんと、信用してくれてるはず。


だから私も、みっくんのこと、


疑ったりしたらいけないんだ。