「何も、"一生笑顔にしろ"なんて言ってない。聞いている、その時だけでも笑顔に出来たらいいじゃないか。お前の声を聞いて、何か勇気付けられたり、元気もらったりしている人間が、いるんだぞ?その人たちの気持ちを知ってもなお、瑞希の病気が"自分のせいだ"って、思うのか?」


ああ、そうか。


「……うぅ………」


「…とりあえず、今は泣け」


翔はそう言って、私を優しく抱きしめる。


少し力が入ったのと同時に、私は声を出して泣いた。


両親が死んだ時よりも、大声で泣いた。


「………」


何も言わず、頭を撫でてくれる翔。


それから私は、1時間以上泣き続けた。


「うっ……ヒック……」


「…ったく、ようやく泣き止んだか」


「ヒック……す、すみません……うぅ……」


「あーもう、泣くな」


私を離し、不器用に自分の指で私の涙の雫をすくう。


「幸望ちゃん、ティッシュいる?」


「うぅ……お願いします……」


奏ちゃんにティッシュをもらい、


涙を拭いて鼻をかむ。