…もしかして、
「私の、せい?」
「幸望りん…?」
「私のせいだ……」
私の歌を、聞いたせいだ。
最初にこの学校で私の歌を聞いたのが、
みっくんだから。
一番長い時間聞いているから、
みっくんが……みっくんが病気に……!
「ど、しよ……私のせいで……私のせいでみっくん死んじゃう……!」
「幸望ちゃん、違う……」
「違くない……私のせいなんです……私の歌を聞いたから……!!」
「幸望!」
私のせいだ。
私のせいで、世界一大切なバンドのメンバーのみっくんを、死なせてしまう。
やだ………
やだよ……………
もう、誰も失いたくないのに……!!!
「おい、幸望!!」
翔に肩を叩かれ、我に返る。
「……瑞希から聞いた。幸望の両親が亡くなった時の話」
「…っ」
「…だから余計、瑞希は言うなって。絶対に幸望が"自分のせいだ"って言うからって……」
「だって、そう、でしょ?私の歌を聞いたから、みっくんは………」
「幸望りん、それは違うよ?」
亮くんが私の前にしゃがんで、優しい声を出す。
「俺たちは、幸望りんの歌を聞いて、幸せになったんだから。」
「でも……!」
「幸望ちゃんの歌を聞いてなくても、瑞希はこうなっていたと思うよ?…瑞希は、こうなってしまう、運命だったんだ」
「……自分のせいにするな。お前は何のために歌ってるんだ?聞いている人を、笑顔にするためだろ?不幸にするために歌ってるわけじゃないんだろ?」
…そうだよ?
聞いている人を、笑顔にするためだよ?
…でもね?
「笑顔にしたくても、笑顔に出来ないんです………。両親だって、みっくんだって、私の前からいなくな……」
「やる前から諦めるな」
私の言葉を遮るように、翔が声を荒げる。

