「…とにかく俺は、瑞希の意思を尊重するから。話したければ、亮二が話せ」


「翔もそんな言い方するなって。」


「…俺が瑞希でも、幸望には知られたくない」


翔……


「…俺で、そう思うなら、あいつはもっとそう思ってるはずだ。」


「翔……」


「じゃあこのまま幸望りん騙して過ごすのか!?瑞希が退院するまでずっと!?」


「亮二、落ち着けよ…」


「落ち着いてられねーよ…!あいつは…瑞希は今も1人で戦ってるって言うのに……。俺は何にもできねーし…。そんな瑞希のこと、幸望りんに黙ってなきゃいけねーし……」


ちょっと、待って。


"退院"って?


"1人で戦ってる"って?


それって━━━


「瑞希が、病気だなんて………」


ーっ!


『ガチャ』


「「「っ!?」」」


「…どういう、ことですか?」


「…幸望」


「幸望ちゃん、どこから聞いて…」


「みっくんが病気って、どういうことなんですか!!」


先輩たちを責めたって、仕方ないのに。


みっくんの苦しみに気づけなかった自分に腹が立つ。


昨日のメールで、気づくべきだったんだ。


様子がおかしいって思ったなら、


問いただすべきだったんだ。


なのに、私、"気のせい"って思って……


「うっ………」


嗚咽が漏れる口を抑えて崩れ落ちる。


誰か、嘘だと言って。


今のは全部嘘だって、言ってよ。


「…瑞希は心臓の病気だ」


ああ、悪夢であって欲しいのに。


「かなり、進行してるみたいで……」


握りしめてる右の手のひらに爪が食い込んで、痛い。


夢じゃないんだ、って思わせる痛み。


「……一ヶ月、持つかどうか」


奏ちゃんの言葉に、ただ涙を流すしかなかった。