「楽しいけど、切なくて苦しくて、泣きたくないのに涙出てきたり…」
泣きたくないのに涙が出てくる…?
「相手の言動に一喜一憂したりね」
「うんうん!目が合うだけで幸せだと思ったり、もっと近づきたいって欲張っちゃったり…」
「恋って難しいよね」
「だね〜」
盛り上がる4人。
ついて行けない私。
とりあえず、必死にメモを取る。
「…じゃあ、片思いの曲か両想いの曲どっちを聞くことが多い?」
次の質問に、うーんと悩む麻衣ちゃん。
「自分のその時の立場によるかなあ。片思いしてたら片思いの曲聞くし、付き合ってたら両想いの曲聞くし…」
なるほど……
「でも私は、片思いの切ない曲が好きだなあ」
と朱里が言う。
「付き合ってるのに?」
「片思いの曲聞いてたら、その時の自分の気持ちが思い出されて、いつまでも新鮮な気持ちで付き合えるんだ」
安藤くんの顔を思い出したのか、少し照れたように笑う。
その顔が、まさに"恋する乙女"の顔に見えた。
「あ、麻衣の中学の話聞いてくれる?」
「もちろん!聞かせて!」
私がそう言うと、麻衣ちゃんは中学の時の片思いをしてた話を聞かせてくれた。
「…ってことがあったんだ〜」
聞いていただけなのに、私の頭の中にはその時の情景が勝手に流れてきた。
…これ、使える!
「麻衣ちゃん、ありがとう!!」
勢い良く立ち上がってそう言うと。
「幸望!ここファミレス!!」
ハルの言葉に、自分が今ものすごく注目を浴びていることに気がつく。
…恥ずかしい!!
そうして私はみんなからからかわれ、
恥ずかしい気持ちでご飯を食べていた。

