「あっそ」


翔輝はそう言うと、リビングを出て行った。


……最悪。


何で怒ってるんだろ…


意味分かんない……


どうしようもない怒りと不安が募っていく。


気づいたら、冷たいしずくで頬をぬらしていた。


もう……


「やだ………」


その時。


ぎゅっと後ろから抱きしめられ、


「ったく、何なんだよ…

 急に怒ったと思ったら次は泣いたり………」


耳元で翔輝の声が聞こえてきた。


「自分でも分かんないんだもん…!」


「何だよそれ」


何だよとか言われても、分かんないんだもん……