「………私が、小学校5年の時でした。」
そう、私が、歌うことに喜びを感じ始めたあの頃。
小さい頃から歌が上手いとほめられ、
自分でも、私は歌が上手いんだと思っていた。
小学校にあがると同時に地域の聖歌隊に入り、
週に3回通っていた。
その中でもソロなどをやらせてもらって、
発表会があると決まって私が褒められていた。
私が歌えばみんなが笑顔になれる。
もっともっと、みんなを笑顔にさせたい。
幼いながらそう思った私は、歌手になろうって決めた。
「単純ですよね。
小さいから褒めてもらえてただけかもしれないのに。」
自嘲気味に笑うと、みっくん先輩は首を横に振った。
そして、また真剣な顔で私の話に耳をかたむける。

