「…素晴らしかったです、告別」
「………」
先輩の楽譜をめくる手が止まる。

「音の魔術師なんですね」
先輩がこっちを向く。目が合った。

「…そんなこと、初めて言われた。」

冷たい目じゃなかった。
笑ってないけど、笑ってる感じがした。

他にも先輩の演奏聴いて、聞きたいことや言いたいこと、あった気がするけど、ここへ来たら忘れてしまった。