すると先輩はふいに私の首の下あたりに手を伸ばした。

な、何…

ドクッと心臓が脈を打つ。

「…とれてる、ボタン」

あ、…ほんとだ。
さっき松原に胸倉を掴まれた時にとれたんだった。

先輩はボタンを留めると、そのまま私を抱き締めた。

声も出なかった。息が止まるかとおもった。いや、心臓ごと、止まるかと思った。

その展開がまるで、スローモーションのように、テンパってる私にも何が起こっているかがわかった。