助けてくれた?

先輩は階段を上がると、掴んでいた手首を離した。夕方の匂いがした。

もうあまり人も残っていなくて、遠くから吹奏楽部の演奏や、運動部の掛け声が聞こえてきた。

「怪我は?」
「…え?」
「ない?」
「あ、うん」

心配してくれてたんだ。キュンキュンきてしまう。もう私の気持ち知ってるでしょ?
なんだか切ない。