…確かに。

私はさっきまで言おうとしていたこともすっかり忘れてしまった。

「…じゃあまた…」
私はそう言ってその場を後にした。面倒なことになりたくなかったから。

「風音!」

桜田先輩が私を呼ぶ。私は振り返って軽く会釈をしてそのまま歩いた。

面倒なことになったらまた桜田先輩と距離ができてしまうかもしれない。
それに、先輩にも迷惑がかかる。松原は、何をし出すか常にわからないから。

だから、また今度言えばいいや。
今日はちょっと、タイミングが悪かったんだよね……