そして先輩の口から次に出た言葉。

「彼女じゃないし」

取り乱している私には全てが嘘のように思えてならなかった。
だったらなんなのよ、私が見てきたのは。私が苦しんだのは。
冗談じゃない。

先輩は私と向き合い、私の涙を親指で拭った。
こういうことだって、しないでよ、ますます悲しくなる。虚しくなる。

夢見ただけ、突き落とされる崖の高さは高くなるから。