………帰ろ。
そう思って前を向くと、まるでそれを知ってるかのように数メートル先の先輩が立ち止まり、振り返る。

「………」
「帰らねーの」

え……

「か、帰る……………」

さっきまで身体の中に何かが潜んでるように重かったはずが、一瞬にしてすっとどこかへ抜けて行った。