先輩が私の目の前に来る。
距離に比例して心臓の鼓動は速くなる。

「なんかあった?」
「…何もないよ」
一瞬にして動揺を隠し精一杯笑ったけど、先輩は納得しきれない様子で私の顔を覗き込む。

「わかるから」
「え…」
両肩に手が置かれる。直視することができずに思わず下を向く。

「俺がお前に興味ないとでも思った?」