私は席に座ったまま動かなかった。というか、動けなかった。
なんだろう、この引っかかる気持ちは。

松原の言ったことが嘘にせよ、あんなこと言われたのに変わりはない。

あんなことで自分がへこむのもすごく悔しいことだとは思うけど。

「…帰るよ、ほら、立て」
「………」

先輩は私の腕を持ち上げて、机の中の教科書を私の鞄に適当にしまい、椅子に掛けてあったコートを適当に私にかけた。

何されてもキュンキュンしてしまう。