「えっ、いいの?」
「いいよ」
待てよ、それって…
いや、なんでもない。

差し出された缶コーヒーを受け取った。微かに触れる指先。

「熱っ」
持っただけで缶から伝わる熱。熱い。
私はカーディガンの袖を引っ張り出し、袖の上から缶コーヒーを持った。

「よく素手で持てるね、こんなの」
「そこまで熱くなくね?」

飲み口から出る湯気が空気中に次々と溶け込んでゆく。