伝音

愛梨はそんな私の様子にはちっとも気付かずに、鼻歌を歌い、携帯をいじりながら歩いている。

何事もないように愛梨と喋ろうとしたけどもうすぐそこだった。
絶対気付かれてる。
このまま何もなく通り過ぎたら…？
絶対嫌！
光貴君もいるんだしせめて白々しく挨拶しようと思ってゆっくりと桜田先輩と光貴君の方を見た。

一番に桜田先輩と目が合った。もう逃げられない。
なんだかホッとしてる自分もいた。