好きな人の姿ってすぐわかる。
特別に見える。すぐに反応する。常に探してるからかな。
まるで宝物を見つけた小さな子供みたいに。

「桜田先輩だよ、風音」
愛梨が耳打ちする。
知ってるって意味を込めて頷いた。私が気づかないわけないじゃない。

私達の向かう方向に先輩と光貴君がいる。まだ気付かれてない、と思う。