一通りロビーを見渡し、一番手前のソファに目を向けた瞬間、私の心臓が体内から出たがっているかのように大きく跳ね上がった。

まさかと思って凝視した。
黒いスーツを来て携帯を触っている。

いや、そんなわけはない。
そんな世の中上手くできてるわけない。
…ううん、でも、そうだ。
居てもおかしくない、だって有名なコンクールだし。

心臓の鼓動はだんだん速くなる。