私が扉を閉めると先輩は、
「あー電気つけて」
と、私の横を指差して言った。

パチンパチン、と電気のスイッチを押すと何度か点滅した後、ぱっと明かりがついた。

「来ないと思ってた」
「そんなわけないじゃん…」

先輩が普通で良かった。この前の重奏試験の後のことはなんとなく、お互い言わなかった。

私は洗面台の前の丸椅子に座った。ガラス張りの机の上にネクタイを置く先輩。