私は何も言えずにそのままでいた。
先輩がようやくこちらに気付き目が合うと、一瞬、あっという顔をした。

「…来てたの」
「うん…ごめんなさい、勝手に入って」
「や、いいけど」

ネクタイを緩めながら先輩は言った。
部屋が薄暗いせいで表情はよく読み取れない。でも、ネクタイを緩めている姿はすごく絵になる。
一瞬見惚れてしまったがすぐ我に返った。