すると電気もつけずにスーツのままソファにうなだれている先輩がいた。右腕を額の上に下ろしたまま、こちらには気付かない。

いた………‼︎

ソファの前のガラス張りの机には楽譜が広げてあって、ペットボトルのお茶と筆記用具も置いてある。

私はしばらくその場に立ち尽くしていた。
何も見ていない振りをして帰るという選択肢もあったけど、ここで引き下がったら次のチャンスなんていつかわからない、もしかしたらないかもしれない。