この人は今私のすぐ隣にいるけど、本当は星のように遠くて、自分がトップに立っていることもさほど誇りに思っていないし、気にも留めていない。
むしろ「1位」という称号に疑問さえ抱いている。

頭の構造が恐ろしい。

私達は歩き出した。

「先輩は…コンクールに沢山出ますよね?」
私の方をゆっくり向く先輩。
「…先輩は自分がなんで1番なのかわからないとおっしゃいましたよね?コンクールって順位つけるためのものだけど…」
私が言い終わる前に言葉を割られた。