「来たわね、夏木ちゃん、はい、これテスト。終わったら出しに来てね。」
「はい」

私は主任から冊子を受け取る。
「追認試験ー楽典ー」。別室に入ると張り詰めた空気に息苦しさを感じた。
真剣に解答用紙と向き合う4、5人の生徒の姿。
紙一枚の音さえ騒音だと感じられるその空間で私はゆっくりとテスト用紙を広げた。
驚くことに、見慣れた顔の問題ばかりで、第1問、第2問と次々に手が進む。初めて楽典を楽しいと思えた。