私はとりあえず主任のところへ再び行った。
「楽典教えてください…」
「楽典ー!? 楽典なら楽典の先生に聞いてらっしゃいよ」
「だって〜!怖いんだもん…」
私が頬を膨らませてみせるとまた豪快に笑われた。

なんだかんだで主任は話しやすいし溶け込みやすい人だから生徒の好感度も高い。
「ほんとに仕方ないね、あんたは。どれ?どこがわからないの?」
どこ?いや、
「ぜ、全部…」
私が遠慮がちに答える。