「…なんだ?お前、悪魔のくせに何を恐がってるんだ?」

「…恐がっている?」

和希の言葉が悪魔の耳に繰り返し響きわたる

・・・恐がっている・・・

・・・恐がっている・・・

・・・恐がっている・・・


「こっ!この俺様が、恐がっているだと!」


悪魔にとって、これほど屈辱な言葉は無い。

恐れられてこそ悪魔は存在意義があるのだから。

「…なに怒ってんの?意味解んないぞ?」

和希の言葉に我に返る悪魔。

「…いかん…いかんぞ悪魔が人間ごときに思考を読み取られる」

「そんな事は、あってはならん事だ」

悪魔は和希を見上げ、思考を読み取られないように意識をガードする。

「…お前やっぱり本物の悪魔なんだな!」

「…!」

またしても、和希の意外な言葉に悪魔は驚いた!

「…願いを叶える代わりに、その願いをした者の一番大切なものを奪ってんだ」

悪魔は和希の言葉に驚愕する!

「…バッ!バカな!俺は思考をガードしたはずだ!」

「なのになぜ思考が?いや記憶が読まれるのだ!」

「…そんなの知らねえよ?お前の記憶が勝手に俺の頭に入ってくるんだから」

「…まぁ、そのおかげで助かっているんだけどな…」

自分の頭に入ってくる悪魔の記憶が、今の和希の尿意を抑えてくれている。

「…お前、今なんて言った!」

ヒステリックに悪魔は和希に叫んだ!

「…なにって?」

悪魔は驚き戸惑った!和希の思考が読めない自分自身に…

「…そ!そんなバカな俺の思考を読み取る能力が奪われている?」

「・・・たかが人間の小僧に・・・」

自分の能力を奪われ、悪魔は生まれて初めて恐怖というものを知った・・・