「…あれ?」

「まずいな…」

退屈な古典の授業中、和希は自分の身に起きてきた変化に不安を感じる。

「…おいおいマジかよトイレに行きたくなってきたぞ!」

時計を見ると、授業は後30分はある。

今は、まだ緊急ではないが、この感覚は少し不安になる。

「まぁいい、後30分ぐらいなら我慢できるだろう」

そう自分に言い聞かせ、尿意を忘れるように授業に集中していく。

10分ぐらい過ぎた頃、和希の表情は苦悩に満ちていた。

「…これはマズイ!本格的にトイレに行きたくなってきたぞ!」

和希は、自分の今の状態がとてつもなく窮地におちていることを自覚する。

「…マズイ、マズすぎるぞ…」

股間の辺りに、とめどめもなく訪れる圧迫感に和希は悩まされ続けていく。

「…落ち着け…落ち着け…たしか尿意を抑えるには…?」

「そうだ!足の親指に意識を集中させて…」

尿意を、抑えようと試行錯誤してみる和希だったが思いは叶わない。

「…どうする?トイレに行かせてくれと教師に言うか?」

「…いや、それはダメだ!トイレに行かせてくれと言っただけで笑いの種になる」

「…どうする?」

「…おい?」

「…どうする?」

「……おいコラっ!」

「…どうする?」

「…おいっ!聞けってんだよ!」

「…えっ!」

誰かが自分に向かって話し掛けてるのに気付き、和希は周りを見回してみる。