お母さんの強引な姿を見て納得したのか、コクンと頷いたヨシキ
その姿を見て、隠れて両手を顔の前で揃えて、謝る
そんな私達の会話を打破する様に、ノリノリのお母さんの声が降ってくる
「こんなにびしょ濡れじゃ風邪ひくわ。お風呂沸かすから入っていって!!」
「えっ!! そんな悪いですよっ」
とんでもない!といった風に首を横にブンブンと振るヨシキ
――まぁ、そうだわな。
でも、きっと一度言い出したら聞かないお母さんだから、絶対意地でも入れさせるな・・きっと
そう思った私はブンブンと首を振って恐縮するヨシキに
「気にしないで。きっと制服乾くまで時間かかるし、その間に温まってきなよ」
「――え...本当に? いい・・・の?」
途切れ途切れに言葉を落としながら、遠慮がちに私達3人の顔をキョロキョロと見たヨシキ
「いいに決まってるでしょ。今、お風呂沸かすから、ヨシキはリビングで待ってて。今着替え持ってくるね」
「そうだわ!! お父さんの新しいTシャツがあるから、それ使って頂戴」
パンと両手を胸の前で合わせて、嬉しそうにバタバタと2階へ向かうお母さん
台風の如く暴れ回る母に、なんだか猛烈に恥ずかしくなってきた
微かな沈黙が残された3人の間に流れる
すると
「じゃぁ・・・俺の短パンでよかったら使う?」
そう言って、ヨシキより少し身長の小さいミズキが、恥ずかしそうにヨシキの顔をチラッと見上げた
その言葉を聞いて、少し驚いて目を丸くしたヨシキだったけど
「ありがとう。じゃぁお言葉に甘えて貸してもらえるかな」
と、王子様の様なスマイルを見せた



