開け放った玄関の先には、びしょ濡れのヨシキが未だにパンパンと制服を叩いていた
そして、私が出てきたと思ったのであろう
パッと顔を上げてから、目を見開いた
「こんばんは~!! ジュリの母です。ジュリがいつもお世話になってます」
固まってしまったヨシキを余所に、ニコニコ笑いながら深々とお辞儀をするお母さん
それにつられて、魔法が解けたように慌てて動き出したヨシキ
「いえこちらこそっ」
そう言って、お母さんよりも深く頭を下げた
なんなんだ、この図は・・・
まさかの、お母さんとの対面にアタフタするヨシキ
なんどか、酷く申し訳なくなってきた
すると
「あら~びしょ濡れじゃないの。さぁ、さぁ!! どうぞ入って。風邪ひいたら大変よ」
気まずい雰囲気もなんのその
お母さんはニコニコ笑いながら、グイグイとヨシキの背中を押しだした
「ほらジュリ!! スリッパお出しして」
「えっ!?」
もう、この子は!!
という顔でお母さんが話しかけてきて我に返った私は、お客様用のスリッパを玄関に並べた
そんな中、困惑するヨシキが助けを求める様に私の目を見つめてきた
それでも、こうなったら私にもどうする事もできない
「ごめん。お母さん一度言ったら聞かないから、ひとまず中に入ってくれる?」
靴を脱ぐヨシキの耳もとで、こそっと伝えた



