好き。離れたくない。側にいて。
置いていかないで
私の心の奥から、止めどなく溢れる思いが、涙となって零れていく
泣かないと決めていたのに、ヨシキに抱きしめられると、私の決意なんてあっさり壊れてしまって
縋りつく様に、ギュッとヨシキの服の袖を掴んだ
「ジュリ」
私の名前を呼ぶヨシキの声
その声は少し震えていて、今にも壊れてしまいそうだった
ヨシキの広い背中に腕をまわす
大丈夫。
そう思いを込めて
「お手紙ちょうだいね」
「うん」
「電話も、たまにでいいからしてね」
「うん」
「浮気したらダメだよ」
「しないよ」
「体には気を付けてね」
「うん」
「――私の事、忘れないでね」
ヨシキの胸に手をついてヨシキの顔を見上げる
私の頬を伝う涙を、ヨシキが優しく拭ってくれた
優しいヨシキの大きな手
いつも私を守ってくれた
透き通った綺麗なグレーの瞳
クセッ毛の髪の毛
すっと通った鼻
ヨシキの笑顔
この光景を目に焼き付けておこう
忘れない様に
1人でも立っていられる様に



