車を走らせて、小高い山の上まで来た私達

辺りは真っ暗で、遠くに小さな明かりがポツンと見えるだけだった




「着いた」

「すごい真っ暗。なんか出そうですね」



エンジンを切った事を確認してから、シートベルトを外して首にグルグルとマフラーを巻きつける


もう秋も終わりかけている今は、冬の気配がする



ドアを開けて外に出ると、案の定冷たい風が顔にかかった




「こっち」




グレーのマフラーを首に巻きつけた星野さんが、携帯の明かりを足元に照らして誘導してくれた

そして、少し歩いた所に小さな展望台があった




「ここ」



足を止めた星野さん

足元ばかり見ていた私は星野さんの言葉に顔を上げた

その目に飛び込んできた世界に、息を飲む




「すごい・・・」




目の前には見た事もない程キラキラと光る夜景が広がっていた



道路に並ぶ車のライト

様々な色に変化しているネオン

世界がキラキラと動いている




「すごい綺麗・・・」




初めて見る夜景に、そんな言葉しか出てこない私

でも、それしか似合う言葉がない




「――でもさ、なんかこうやって見ると俺達ってちっぽけな存在なんだなぁって思うよな」




私の隣でポケットに手を突っ込んでいる星野さんがそう呟く

その言葉を聞きながら、目の前の夜景を見て、確かにと思う




「うん・・・そうかもしれないです」




あんなに大きいビルも、ここにくれば玩具みたい

そして、その中にいる人間は本当に小さくて、数えきれない程いる人の中の、たった1人にすぎないんだ



もう、ここからじゃ見えない程

小さな存在