それから私達はそれぞれパスタを頼んで、夕食を取り始めた
互いに無言だったけど、星野さんから会話の流れを作ってくれて、おずおずと話し始めた
最初は気まずかったけど、段々と話もできる様になってきた私
――なんでも高校での部活を引退してから、今のスポーツ店で働きだして、今で4年目だとか
実家が少し離れているから、1人暮らしをしている事
スポーツが好きで、休みになると友達とよくバスケなどをしてるみたい
「へぇ~。じゃぁ将来は接客業をしたいんですか?」
「まぁな。実際俺愛想悪いってよく言われるから、周りは本気にしてないけどな」
そう言って、パスタをモグモグと食べる星野さん
愛想は・・・まぁ・・よくないよね
「でも、将来の事が決まってるって羨ましいです。私なんて全く自分が何したいのか分からないし」
結局最後まで、自分のやりたい事が見えず、とりあえず地元の大学に進む私
やっぱりこんな、あやふやな考えの人って少ないのかなぁ
そう思って、少し落ち込んでいると
「実際俺も高校の時はそうだった。とりあえず大学入って、バイト三昧の日々だったけど。逆にそのバイトが楽しくて、将来は接客業に就きたいって思ったし」
「そうなんですか・・・」
「将来の事なんて、誰にも分からないもんだ。でも可能性はどこにでも落ちてんだよ」
使い終わったフォークを綺麗に皿にのせて、小さく息を吐いた星野さん
その姿をじっと見つめる
可能性は、どこにでも落ちてる
星野さんの言葉がすんなり胸に入ってきて、さっきまで暗かった心が少し晴れた気がした
「そうですよね! 私も焦らず頑張ってみます」
なんだか妙にスッキリした気持ちになった
星野さんの話を聞いて良かった



