しばらく渡されたものを眺めていた星野さんだけど、ふと商品の並ぶ棚の方を見て
「こっちの花は青だけど」
そう言って、その商品を手に取った
私の選んだ花はピンクだったけど、もう1つ残っているモノは青色の花だった
「ピンクがいいです! 山さんピンク好きだし」
「まぁ、あの人はピンクっぽいかもな」
小さく頷いて、青い花が入った方の鳥籠を元の棚に戻す星野さん
すると、もう片方の手に持っていたピンクの花が入った鳥籠から、ヒラヒラと小さな紙が落ちた
それに気づいた星野さんが、腰を屈めてそれを拾うと、じっとその紙を見つめた
「――ピンクの方がいいな。この花の花言葉が『温かい心』っていうみたいだぞ。あの人に合ってるよな」
微かに微笑んで、鳥籠の中に入っていた小さなポストカードを私に渡す星野さん
それを受け取って、そのカードに目を落とす
――息が止まるかと思った
『温かい心』
ヨシキの両親から送られた言葉
私の幸せのカケラ
手渡されたポストカードを震える手で持つ
カードに書かれた文字をやっとの思いで拾う
『クレイジー・トゥ(バラ科)花言葉:温かい心』
クリスマスの光景が脳裏を走馬灯の様に駆け巡る
テーブルに並んだご馳走
ご両親からのプレゼント
ケーキの上のロウソクの光
煌めくイルミネーション
――ヨシキの瞳



