呟いた声が、虚しく世界に満ちる




胸が張り裂けそうだった

涙を必死に我慢して唇を噛みしめた

足がガタガタと震えている

息ができない




私の声を聞いて、しばらく黙っているヨシキ

重たい沈黙が私の息を詰める

そして




『・・・・わかった』




そう言ったヨシキの声が、震えている様な気がした

受話器の向こう側で英語の話し声が聞こえる



これから先のヨシキの世界

私とはもう、住む世界が変わってしまった



もう交わる事はない





『幸せになって。ジュリ』




しばらく黙っていたヨシキが呟く様にそう言った




―――幸せ



この先に幸せなんてあるのかな

ヨシキのいない世界に

幸せなんて・・・




でも



「うん。ヨシキもね」




ギュッと携帯を握りしめてそう言った

今にも壊れてしまいそうな心を押さえて

零れる涙を拭う事なく、小さく頷いた




『・・・・ありがとう』

「――さようなら、ヨシキ」




そう言い終えると、すぐに電話を切った

もう、立っていられなかったから



ぐにゃりと足の力が抜けて、その場に倒れこんだ




「―――っ」




胸が苦しい

息ができない