私達の人生は
既に別々の道を歩いているのかもしれない
ただ1つ分かるのは
その道は、未来で繋がっているとは限らない
ボーっと目の前を見ながら、そんな事を思う
大好きなヨシキ
誰よりも、誰よりも
心から大好き―――
そう心の中で鳴らして、私は携帯を取り出して、その場から離れる様にして駆けだした
離れた場所まで行き、着信履歴を開く
同じ名前がずらりと並んでいる
遠くの方で花火の音がする
ううん。
もしかしたら、私の心臓の音かもしれない
携帯を開き、一番上に映し出された名前に震える手で電話を掛けた
しばらく呼び出し音が鳴る
体が宙に浮いてるみたいだ
Trrrrr
Trrrr――――‥‥
『もしもし!?』
しばらくすると、少し驚いた様子で電話に出たヨシキ
時差を考えると、イギリスは今お昼ぐらいだろうか
「もしもし・・・ヨシキ」
震える声で彼の名前を呼ぶ
久しぶりに聞く声や
名前を呼ぶだけで、胸が締め付けられる
実はヨシキは出発の前日にメールをくれた
イギリスに行っている間、携帯は使えるから、もし何かあれば連絡してくれって
「どした?」
遠くでヨシキの声が聞こえる
大好きなヨシキの声
すぐ近くにいる様に錯覚してしまう
でも彼はずっと海の向こう
手の届かない所
誰と何をしていても
何かを離していても
私は近くにはいない
それは、私にとっても同じ事
今も
これからも



