いつも同じ空の下で



「泣いてると思った」



ヨシキは悲しそうにそう言って、私の真っ赤に腫れた目をじっと見つめている

くっきりとした二重瞼の奥の、グレーと青色が混ざった様な綺麗な瞳に私が映っている




「泣かせてるのは・・・・俺か・・・」




自嘲気に笑ってそう言うと、すっと手を下げて私を優しく抱きしめたヨシキ


爽やかなシトラスの香りが私を包む





「――話がしたい」




力強くそう言うヨシキに逆らう事なんてできず、コクンと力なく頷いた









それから、ヨシキの後をトボトボとついて行った

なんだか一歩一歩進むごとに、2人の別れに近づいている様な気がした




広いヨシキの背中

もうあの背中に抱きつく事は、できなくなるんじゃないだろうか

そんな事ばかり浮かんで、涙がまた溢れた




しばらくして、初めて一緒に帰った日に寄った公園に着いた



以前の様に小さな池のある場所へ行き、ベンチに腰を下ろしたヨシキ

それでも、私は何故か座る事ができずベンチの横で立ち尽くした




ここに座れば、別れへのカウントダウンが始まる様な気がして―――

そう思うと、座る事ができなかった




私の精一杯の抵抗




でもそんな抵抗も虚しく、下を向いて立ち尽くしている私の手をとって、なだめる様に私を座らせたヨシキ

きっと、ヨシキの前で私は幼稚園児の様なものだ




私が座ってからも、しばらく何も話さないヨシキ

どうやって、別れを切り出そうかと考えているのかな――?




胸が苦しくて息ができない

今すぐにでも逃げ出したい気持ちの中で、ギュッと手を握りしめてヨシキの言葉を待った