それからしばらく経ったある日、家までの道をトボトボと1人で歩いていた
いつもはヨシキと手を繋いで歩いていた道
同じ景色なのに、なんだか違った道に見える
ヨシキといるだけで、ただの帰り道もすごく楽しかった
当たり前だった日々が、こんなにも特別だったと気づく
そんな事を思っていると、また胸の奥が締め付けられる様だった
目に溜まった涙をゴシゴシと拭う
すると
「そんなに擦ったら、目が赤くなるよ」
不意にそんな声がして、驚いて顔をあげた
すると目の前には、私の家の壁に寄りかかって、腕を組んでいるヨシキが立っていた
ボーっと歩いているうちに、家に着いていたんだ
茫然と立ち尽くす私を、ヨシキはじっと見つめている
何ともない事なのに、心臓が高鳴る
久しぶりに見るヨシキ
久しぶりに聞くヨシキの声
なんだかとても懐かしく感じた
それでも、次の言葉で再び鉛を飲み込んだ様に心が重たくなる
「話の続きがしたい」
何も言わずに立ち尽くしている私を、真っ直ぐに見つめて近づいてくるヨシキ
私は真っ赤に腫れた目を見られたくなくて、思わず下を向いた
でも、そんな事ヨシキにはお見通しで
私の顎を持ち上げて顔を上げさせた



