『レン』と呼ばれるその子は、サラサラの絹の様な髪を短く切ってある
色素が少し薄いヨシキとは違って、レンくんは真っ黒の髪
パッチリの二重の奥には、お父さんやヨシキと同じ、透き通ったグレーの瞳が輝いている
すべすべ肌の小さい顔に、ピンク色の小さな唇が収まっている
小学4年生だと聞いていたレンくんは、まだ、あどけなさが残っていた
「こんにちは、弟の蓮『レン』です」
急いで椅子から立ち上がった私に、ニッコリ笑って『レンくん』は片手を私の方に向けた
握手だ!! シェイクハンド!!
日本では、あまりない握手に戸惑いながら、オズオズと片手を出した
「今宮樹里です。よろしくね」
すると、レンくんはニッコリ笑って、私の手をブンブンと上下に動かし握手した
笑った顔が天使の様に可愛らしい
「ジュリちゃんね。兄ちゃんからよく話は聞かされてるよ。思ってた通り、すっごく可愛いや」
そう言ってレンくんは、ばふっと私の胸に飛び込んできて、子供みたいにギュッと抱きついてきた
えぇ!? これってどういう事!?
突然の事で、オロオロしていると、すかさずヨシキが私達に駆け寄る
「あ~。こらレン!! そこは俺の特等席なんだからダメ」
「いいじゃん!! いつも兄ちゃんばっかりズルイ」
私とレンくんを引き離そうと必死に間に入ってきたヨシキ
そして、小さな唇を尖らせて、離れまいとギュッと掴む手を強めるレンくん
いや――――んっ
可愛い―――!!
そんな私達を見て、お父さんとお母さんは、アハハと大笑いしてる
なんだか、暖かいお家
愛し、愛されているのが分かる
素敵―――
それから、さっきまで緊張してたのがウソみたいに、みんなと一緒になって大笑いした



