いつも同じ空の下で



リビングに入った途端、ソファーに座っている男の人の後ろ姿が見えた

瞬間、その人がお父さんだと直感する




「パパ~、ジュリちゃんが来たわよ~」




じっとその人の背中を見つめていた私に、お母さんの陽気な声が響く

え!? ジュリちゃん!? もうそんなフレンドリーな呼び方してもらえるの!?


内心ビックリしつつも、背筋をピンと伸ばして、前を見据える

すると、その声に反応してゆっくりと振り返る広い背中

そして




「――わ」



その人が振り返った瞬間、思わず声がでてしまった




初めて見るお父さんの第一印象は


『ダンディーな人』


スラっとした手足に筋肉のついた体

高い鼻に、ぱっちりとした二重瞼

長い睫毛は、くるんとカールしている

そして、目を引くような透き通ったグレーの瞳



ハーフというだけあって、どこか外国を思わせる容姿だ

妙に色気を感じる、この人がヨシキのお父さんだ




すっごいカッコイイ・・・

そこらへんの俳優よりかっこいい

そんな姿に、思わず見惚れていると




「こんにちは、ジュリちゃん。会えるのを楽しみにしていたよ」

「こっ、こんにちわ!! 今宮樹里です。私も今日を楽しみにしてました」



私の顔を見て、ニッコリと笑うヨシキのお父さんに、壊れた玩具の様にぎこちないお辞儀をした

そんな私を見て、一瞬目を見開くお父さん

それでも、一気に顔を崩して笑い出した




「アハハ!! そんなに緊張しないで。今日は沢山ジュリちゃんの話を聞かせてくれ」



そう言ってお父さんは私の腰に手を添えて、キッチンまでエスコートしてくれた

さすが・・・・紳士的だ




「さぁ。お食事にしましょ!! ヨシキ、2階にいるレンを呼んできて」

「は~い」



キッチンでは、お母さんがスープをよそいながらヨシキと話している




――レン・・・弟さんの名前かな




緊張しながら椅子に腰かけていると、ヨシキが2階から降りてきた

そして、その後ろには『レン』と呼ばれたヨシキの弟と思われる子が立っていた