期待してた自分が馬鹿みたい。 相手は家庭がある。帰る場所があるのに。 わかってるのに "女"の自分が生々しく顔を出すのが憎たらしい。 「…はい、上着。別に臭くはないはずなんで。私香水もつけないんで。」 『わかってる。だからこうして家に来れるんだろう。残り香がないから』 「…もう本当にやめましょう。終わりにしましょうよ。ね。」 『……そんな泣きそうな顔して言うなよ。離れたくなくなるだろう』 「同情ですか?ならやめてください。」 『いや、同情じゃなくて、愛情だよ沙奈』