Cold phantom

名前を口にした時、また酷い頭痛に襲われた。

頭を押さえ始めた私を長池先生は肩を押さえながら心配してくれた。

「大丈夫か?」

心配してくれる先生の手を静かに退けながら、一瞬だった痛感の余韻を残した頭痛に苦い表情になった。

「大丈夫です。ちょっと落ち着きました。」

そう言っては見るものの、やはり表情に出ているのか先生は…

「今は頭痛薬より睡眠導入剤のほうが良いかもしれないな。」

「あの大丈…あっ。」

言うや否や部屋を出てしまう長池先生を私は呼び止める事が出来なかった。

「あっと言う間に行ってしまったッスね。」

「先生が嵐みたいな人なのはいつもの事だからね。」

私は先生が飛び出した扉を見ながらそう言った。

ゆっくり閉まっていく白い扉が静かに閉じた時、私はヒロ君に向き直った。

「色々とうろ覚えなんだけど、確か私ヒロ君が桜の下に居たのを覚えてるんだけど…」

「えっ?」

「?」

私が話をしている途中でヒロ君が声をあげた。

どうしたのだろうと返事を待つ…

そして話始めた。

「ヒロ…君?」

「…あっ」

言われて私も気が付いた。

何故か彼の事をヒロ君と呼んでいた。

初対面でいきなり下の名前で呼んでいる。