霧生は当たり前のように席に着き、当たり前のようにペンケースと教科書を出し、当たり前のように前を見た。
「…教科書、前の学校と同じだった?」
よろしくもなしに当たり前のように存在している霧生だが、とりあえず何か言わなければと思って夏来が話しかけると、霧生は無表情でこちらを見た。
「数学と美術は一昨日買いました。」
当たり前のように存在しているくせに、何故か迫力がある。見た目と、死んだ魚のような目のせいかも知れない。
「どーせなら制服も買っとけよ。」
思わず突っ込んだ。
一応洒落のつもりだったが、霧生には通じなかったようで、無表情のままだった。
「私は、制服を買う必要は無いと判断いたしました。」
表情を変えず、口だけを動かす喋り方で、まるでロボットみたいだ。
「必要あんだろ。」
「ここだけの話ですが、私は制服を買う気などありませんし買っても頼んでもいません。」
つまり、ここの制服は着る気にならないとかそう言うことかな?
「えーと…霧生?」
「夏目さんとお呼びください。何でしょう。」
親しく話しかけたつもりが見事にブロックされた。
「じゃあ夏目…さん。前はどこの学校行ってた?」
その質問に、霧生は少しばかり黙ってから呟くように、
「学校の必要性を感じなかったのです。」
と言った。
「は?必要に決まってんだろ。義務教育だぞ?」
「義務教育で習うことなど、たかが知れています。」
棘のある言い方だ。
そう聞こえただけかも知れない。
俺が黙ると、霧生はまた前を見て平然としている。
気づけばHRも終わっている。だが、誰も霧生に近づこうとしない。
皆、近寄り難いのかも知れない。
ちらっと窓際の潤の席を見ると、屋上にでもサボりに行ったのか既にいなかった。
「…教科書、前の学校と同じだった?」
よろしくもなしに当たり前のように存在している霧生だが、とりあえず何か言わなければと思って夏来が話しかけると、霧生は無表情でこちらを見た。
「数学と美術は一昨日買いました。」
当たり前のように存在しているくせに、何故か迫力がある。見た目と、死んだ魚のような目のせいかも知れない。
「どーせなら制服も買っとけよ。」
思わず突っ込んだ。
一応洒落のつもりだったが、霧生には通じなかったようで、無表情のままだった。
「私は、制服を買う必要は無いと判断いたしました。」
表情を変えず、口だけを動かす喋り方で、まるでロボットみたいだ。
「必要あんだろ。」
「ここだけの話ですが、私は制服を買う気などありませんし買っても頼んでもいません。」
つまり、ここの制服は着る気にならないとかそう言うことかな?
「えーと…霧生?」
「夏目さんとお呼びください。何でしょう。」
親しく話しかけたつもりが見事にブロックされた。
「じゃあ夏目…さん。前はどこの学校行ってた?」
その質問に、霧生は少しばかり黙ってから呟くように、
「学校の必要性を感じなかったのです。」
と言った。
「は?必要に決まってんだろ。義務教育だぞ?」
「義務教育で習うことなど、たかが知れています。」
棘のある言い方だ。
そう聞こえただけかも知れない。
俺が黙ると、霧生はまた前を見て平然としている。
気づけばHRも終わっている。だが、誰も霧生に近づこうとしない。
皆、近寄り難いのかも知れない。
ちらっと窓際の潤の席を見ると、屋上にでもサボりに行ったのか既にいなかった。
