「ごめ〜ん!なっち、待ったぁ?」
鼻に抜けるような甘ったるい声が響いたのは、金髪が業を煮やして夏来の腕を掴んだ時だった。
「え…は?潤?」
美しく流れる黒髪、大きなつぶらな目、桜色の唇、白い肌。
どこから見ても美しい容姿をした潤の姿に、金髪たちが息を飲むのがわかった。
「ごめんねぇ、時計狂っちゃっててぇ、待ち合わせ遅れちゃったぁ。潤子ったらうっかりさん☆」
ちろり、と真っ赤な舌を出しておどけてみせる潤に、完全に金髪たちは釘付けだった。
「ちょっと手、どかしてくれるー?これからなっちとお出かけだから♡それじゃあさよならぁ〜!」
そう言って金髪の手をはたき落とすと、潤は夏来の腕を引っ張って走り出した。
「女神様だ…。」
去り際、ポツリと聞こえた金髪たちの声は、奇跡を見たとでも言うように輝いて聞こえた。