予感は的中した。
「よーお、なっち。噂の転校生とはどーよ？」
潤はニヤニヤしながら前の席を陣取っている。
「…あ？」
「ミステリアス転校生にミステリアスな男が親しくしてるとか、そりゃもー有名よ。」
寝起きでただでさえ機嫌の悪い夏来の神経をさかなでるように潤はニヤニヤと話しかけて来る。
「別に、皆が好き勝手言ってるだけだ。つーか、俺は女だし。」
欠伸をしながら辺りを見渡す。もう授業は終わったようで、皆思い思いに休み時間を楽しんでいた。
「この中にそう言って理解する奴が果たして何人いるかね？」
そう言って潤は悪戯っ子のような笑みを漏らした。
その顔は相変わらず美人で、近くの女子グループがきゃあきゃあと噂しているのが聞こえた。
「つーか、実際どうなの？転校生。」
潤は女子グループに笑顔で手を振りながら訪ねてきた。
「何か俺嫌われてるっぽいんだよね。」
夏来と目があった女子は、警戒心の強い猫のような目で鋭く夏来を睨んだ後、こそこそと陰口を始めた。どうせまた調子乗ってるとか言うんだろう、と軽く予想して潤を見据える。