<だと思った。
俺これから美紅ちゃんに会うんだ。
その時風磨のことを話すよ>
「いや、俺が行く」
<え?>

俺の発言にびっくりしているのか
健人は変な声を出した。

今日の担当時間は終わったし……
緊急でもないんだ。

俺は助けを求める人を助ける
手助けをする仕事だ。

もし美紅がその患者ならば
俺は黙って見ているはずがない。

だけど俺の出来る仕事は
その人に手を差し伸べるだけだ。

その人に
生きる、頑張る
という気持ちがなければ
俺がどうこうしても助けれないのだ。

けれど美紅は違う。

頑張って生きてきたんだ。

いっぱい泣いて
いっぱい叫んで
いっぱいボロボロになった。

頑張り過ぎたんだ。

美紅はもう頑張らなくていい。

誰かにちゃんと甘えていいんだ。

だからその誰かに俺はなる。

絶対に美紅を離さないんだ。

いくら拒絶されても
いくら逃げられても。

だから今日から甘えられるようにするんだ。

善は急げってよく言うだろ?

それと一緒だ。

「今日美紅に会わせてくれ
何時どこで待ち合わせだ?」
<え?8時頃OOカフェだけど>
「じゃあ今からそこに向かう
あと1時間くらい掛かるから
ちょっと待っててくれ」

俺は健人との電話を切って
そのまま白衣を脱いで私服に着替えた。

そのまま走って美紅に会いに行こうとするものの
たくさんの客に阻まれてイラッとする。

でもその中を綺麗にすり抜けて先を急ぐ。

美紅ごめんな?

会ったらまず抱きしめて
今までよく頑張ったなって
頭を撫でてやるんだ。

それは恋人じゃなくて一人の人間として。

恋人に戻れなくてもいいんだ。

もう一度……

「笑ってくれ……」